高知の夏の風物詩「よさこい祭り」が70年目の節目を迎える。戦後の不景気を吹き飛ばして市民を元気づけようと1954年に始まった夏祭りは、今や日本を代表する夏のイベントになった。高知出身で毎年参加するタレントの島崎和歌子さん(50)が、その魅力を語った。
よさこい祭り
高知市で毎年8月10、11日に開催される夏祭り。市内中心部のアーケード商店街や駅前ロータリーを会場に、トラックを改造した「地方車(じかたしゃ)」が先導する隊列が踊りを披露する。コロナ禍前の2019年には207チーム約1万8千人が参加した。
夏が近づくと、よさこいの季節だなって思うんです。血が騒ぐんでしょうね。
高知県民にとって、よさこいは日常。学校の授業で習うし体育祭でも踊る。中学の時は自分たちで振り付けを考えて踊っていました。
手に持つ鳴子は、振るとカタカタ鳴るんです。昔の人は、なんでしゃもじで音を鳴らそうと考えたんだろう。不思議ですよね。
子どもって音が出るのが好きでしょ。だから手にすると、ずっと鳴らしているんです。それで、「夜に鳴らすとうるさい」と親に怒られる。これ高知県民のあるあるですね。私も親とか祖母に怒られました。
「そんな、かまんかまん」
その鳴子を持っていれば、どんな踊りでもいい。自由で制限を付けることをしないのは、県民性ですかね。
高知の人は「そんな、かまんかまん」ってよく言うんです。「いいです、いいです」みたいな感じ。
このきっちりしていない感じが良いですよね。好きな踊りと楽器でやってください、楽しんでくださいと任せてしまう。
昔は「正調踊り」という振り付けしかなかったんです。今はサンバ調の曲だってある。しかも先頭を走る地方車(じかたしゃ)の上で生バンド演奏をしたりして。初めて見たときビックリしました。昔じゃ考えられなかった。
踊りの種類が増え、衣装はどんどん派手になる。だから70年間続くけど、ずっと飽きない。伝統を壊すことが「けしからん」なんて言わない。
あ、高知の人ってあんまり難しいことを考えていなかったんですかね(笑)。でも枠に収めようとしないのは、今の時代が求めている多様性に通じるところがあるんじゃないでしょうか。
よさこいの魅力を一言で表すなら「熱い!」です。もし秋の祭りだったら、あんなに熱くなれなかったと思うんです。
ちょうど10年前。よさこい…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル